EPA-style通信

イヌイットが教えてくれたこと

1960年代の初めにデンマークのダイアベルグ博士らが、大変興味深い調査研究を始めました。自治領グリーンランドのイヌイット、デンマークに住む白人、そしてデンマークの都市部に移り住んだイヌイット。3つのグループを対象に死亡率、脂肪摂取量、血漿中の脂肪や脂肪酸の構成などを比較調査したものです。

デンマークに住む白人のうち、心筋梗塞で死亡したのは40人。一方のグリーンランドのイヌイットは、たったの3人という驚くべき結果が出ました。当初ダイアベルグ博士らは、これは民族性の違いからくる遺伝的なものではないかと考えました。しかしデンマークの都市部に長く住むイヌイットたちも、心筋梗塞の発症率は白人のグループとほぼ同率だったのです。

次に博士らが考えたのは、脂肪摂取量でした。グリーンランドのイヌイットは脂肪摂取量が少ないに違いない。それが原因ではないか。ところが調査の結果、欧米人並に高脂肪の食生活が見えてきました。それなのに血液中の総コレステロールや中性脂肪の値は低く、逆に善玉コレステロール(HDL)は高い値を示していたのです。

もはや考えられることは、食物の違いです。イヌイットの主食はサケやマス、アザラシ、トドといった魚や海獣。ここから欧米人に負けず劣らずの高脂肪を摂取しています。一方、白人とデンマーク在住のイヌイットは家畜肉を主食として、それを調理する際に使うリノール酸系植物性油の摂取が多かったのです。

博士らはイヌイットと白人・デンマーク在住組の血液を採取して、血中脂質、とくに脂肪酸の比較分析を行うことにしました。その結果、イヌイットの血液中に多量のEPAという脂質が含まれていることがわかったのです。さらには血中脂質のアラキンドン酸の量が、白人・デンマーク在住組にくらべてはるかに少量であることも判明しました。

私たちの体質を決めているものは、摂取した脂質の種類なのだということを調査の結果は示しています。これを風本真吾医師は健康管理学の立場から、
「EPA体質」「アラキドン酸体質」という言葉で表現しました。私たちが健康を守るために進んでいく方向性を、明確に指し示すために生まれた言葉だったのです。

最後まで健康で長生きしていくために、EPA体質をめざしていきましょう。

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